一度目はさらっと読みました。所要時間1時間。
本好きな王様は年をとり、目も見えず、ベッドに横たわった生活をしています。
王様は二人の男に、一年間旅をして珍しい本の話を知っている人から話を聞き、その話をするよう命じます。
一年後旅から戻ってきた二人の男は交代で王様に「その本」の話を聞かせます。
最初の方はお笑い芸人でもある又吉さんのネタ帳か?子育てパパでもあるヨシタケさんの考えたなぞなぞか?というような、ショートストーリーがいくつも出てきて、正直、つまらない本かも?と思ってしまいました。1ページに2行ってコスパ悪いです。
しかし、読み進めていくうちに、その本とその本に関わる人の物語なども出てきて、読み応えが出てきました。
これから読む方のために詳細は書きませんが、
「その本は、誰も死なない」
という書き出しの竹内春と岬真一のお話はこれだけで1冊にしてもいいくらいの完成されたお話です。
絵本作家になりたかった少年と少女のお話です。
その他にもホラーがかった内容もあり、しおりを挟まずともどこから読んでもすぐにその本の話に入っていける本なのです。
難しい内容はありません。けれどじわじわと後から読み返したくなります。
じわじわ何度も楽しめるので、かなりお得な本です。
今人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんの描く絵はシンプルだけど可愛らしい。あるようでないような表情が想像力をかき立てます。又吉さんの本はデビュー作「火花」以来。どことなく影のあるストーリーにどんどん引き込まれます。
積ん読をすっ飛ばして、本屋さんで衝動買いしてしまった一冊でした。
私の家の「その本たち」にも心があるとしたら、「いい加減に棚から出してほしいと思っていることでしょう。