時々読書感想をブログにしていましたが、1冊でこんなに引き延ばしたのは初めてです。
この本自体はさらっと読めてしまいますが、例えていうなら「水たまりかと思って足を踏み入れたら、マリアナ海溝並みの深さだった」という感じです。
最後は「推し」としての視点です。私自身、ロバートや秋山の「推し」と言えるほどの熱量は持っていません。そもそも自信満々に「推しです!」と言えるものもないですし。ダムめぐりも「好き」ってだけで特定のダムを推しているわけでもないですし。だからメモ少年のように一つのものに命をかけるレベルの推しがある人は純粋にすごいなーと思います。そしてうらやましくもあります。
そういえば推しに関する本は過去にも読んでいました。こちらは小説。
メモ少年はロバートという推しを見つけて、世界を広げていきました。秋山をはじめロバートの面々、同じファンの人、クラスの友達、大学の学園祭実行委員、就職先の上司、秋山も父までもメモ少年のことを応援してくれて、一緒になって楽しんでくれているのです。もちろん好意的に見る人ばかりではなかったと思います。しかし他の人がバカにしようが、あきれてようがメモ少年には関係ないのです。すがすがしいまでに自分の人生に推しを組み込んで人生を謳歌しています。もしこの世からロバートが消え去っても、メモ少年は推しとの人生を別な方法、別な対象で再現していくのではないかと思います。本人もテレビというコンテンツにとどまらない仕事をしていきたいと言っていましたし。
人や出来事。私たちは生きている限り、何かに出会う可能性があります。それが推しになるかどうかは別として、出会ったものに意味があります。出会いには嫌なことや苦しいこともあるでしょう。しかしそれらをどう捉え、面白がれるかで人生は変わるのではないかと考えます。この本は推しがある人には「推しがあることで、もっともっと世界を広げて人生を楽しんで」というメッセージになり、推しがない人には「今いるところに推しがあるよ、もしくは強烈に推さなくても、楽しいことを見つけて生きてみなよ」というメッセージにも受け取れます。本人はそんなこと考えていないのかもしれませんが、少なくとも私にはそう伝わりました。
4月です。環境が変わった人、自分は変わらないけど周りが変わることで新鮮な気持ちでスタートを切った人(私は後者)もいると思います。皆さんの迎える春が輝きに満ち満ちていますように。
あ、言い忘れました。なぜ篠田さんが「メモ少年」と呼ばれているかは、この本を読むか、YouTubeでいくつかの動画を見てください。
【2024.4.3 本日のおやつ】
つくばのアルルというフランス菓子店のマカロンです。色といい形といい、愛らしい。「幸せ」をお菓子で表現するとこうなります!的なお菓子です。おそらく数日で私のおなかに収まる予定です。