ほはばブログ

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50代からの女性の暮らし方、働き方、学び方

【読書記録】優しく美しい、でもちょっと不気味なお話「クララとお日さま」

まだ読んでない方は(めちゃくちゃ断片的な)ネタバレになるかもしれません。

ご了承ください。

 

人工知能をもったヒトが家族に加わるとしたら・・・?

案外近い将来、現実になるかも知れない。

孤独死などが問題になっている今、ニーズはあるのかもしれませんが、

私は心をもったロボットだからこそ一緒にいるのは、怖いなと思っちゃいました。

 

この本の舞台はAF(人工親友)が当たり前に売られている世界。

AFのクララは、とても賢い子です。

思慮深く、穏やかで、記憶力抜群。

そしてお日さまを絶対的な存在として崇めています。

クララを選んだ少女、ジョジーは病弱な子。

母親とお手伝いさんと3人で暮らしています。裕福な暮らしをしています。

クララはジョジーの病はお日さまが治してくれると信じています。

隣に住むリックとジョジーは幼馴染。二人の心はつよい絆で結ばれていて、

「二人の計画」を叶えるために愛を育んでいますが、お金持ちのジョジーと

貧しいリックの間にははっきりとした格差が存在します。

 

クララはお日さまの力を借りて、ジョジーの病気を治そうと、家から離れた

小屋に入っていくお日さまのところで祈りを捧げます。

草の生い茂る田舎道。小さなクララが一人で行くのは困難です。

リックは理由も聞かず、クララを手助けします。

 

ジョジーには姉がいましたが病気で亡くなっています。

母親は、ジョジーが亡くなった時のために、ジョジーの形の人形を準備し

死後、クララを中に入れそばに置く予定でした。

しかし、クララの強い祈りがお日さまに通じたかのように、瀕死の状態の

ジョジーはお日さまの光を受け、その日を境に回復していくのです。

 

AFが学習し、知能を高め心を持ってもなお自分のすべきこと(ジョジーの幸せ

のために存在するというミッション)のためだけに生きる。

健気なクララはずっと最後まで変わりませんでした。

けれど人間はどうでしょう。愛を誓い合ったリック、自分を大切に育ててきた

母親とも離れて大学へ進学するジョジー。

人は環境で変わっていくのです。とても自然なことです。

その気まぐれさやわがままさが安心できるのです。

すくなくとも、私は。

もっとクララも自分を出してほしい!そんなふうにも思っていました。

 

 

感謝の気持ちを述べて、ジョジーに別れを告げるクララがなんだかかわいそうで

なりません。

クララは、ジョジーの友達という役割を果たし終え「引退」します。

廃品置き場でAFのお店の店長さんに、ジョジーとの出会い、そして自分が

とても幸せだったと話します。

そのあとクララは、どこへ行ったのか。どうか最後までクララが幸せであれ!

と祈らずにはいられませんでした。

 

何年か先、何十年か先。

ロボットと人間が共存する世の中になるかも知れません。

上手に使えば便利な道具ですが、この道具には心があります。

心を持つ道具・・・私には少し不気味な世の中に感じられました。