ほはばブログ

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50代からの女性の暮らし方、働き方、学び方

【読了】「成瀬は信じた道をいく」はクールで熱い物語。夏休みはぜひ読んで欲しい。

前作を読んだのがGW。

hohabaibaraki.hatenablog.com

あっという間に夏ですよ。お盆ももうじきやってくる。実際私は今日から休みですしね。読みたい本を何冊か買い込んで休み中に読もうと思っていたら、「成瀬は信じた道をいく」を一晩で読んでしまった。

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前作は滋賀市に住む成瀬あかり(以下「成瀬」と略)の中学~高校時代を成瀬を取り巻く人の目線でつづった短編小説集だった。今回も形は同じだが、成瀬が受験生~大学生の話であることと、成瀬を取り巻く人が変わった。この人たちもまた面白い。

成瀬は膳所高校卒業後、京都大学を受験し合格する。自宅から通い近くのスーパー、フレンドマートでアルバイトをしている。同じマンションに住む幼馴染&お笑いコンビ(地方アイドル?)「ゼゼカラ」の相方の島崎みゆきは高校卒業後家族と共に東京に引っ越し、東京の大学に通う。

小学四年生の北川みらいは学習発表会の地元で活躍している人の研究発表で成瀬を取り上げようとグループに提案した。仲間に成瀬のすばらしさを説き、担任の先生や校長先生まで巻き込み何とかみんなも同意してくれることになった。運命というのは不思議で(まあ地元同士だからそれほど運命ってほどでもないのかもだけど)調べている時に憧れの成瀬とご対面する。前作では「名前を一度聞いたら忘れない」とか「おやつこんぶが好き」というプロファイルはなかったと思うが、成瀬の細かな習性が分かって私まで北川みらいと一緒に成瀬推しになっていた。

京都大学受験では野宿しようとしていた受験生ユーチューバー城山友樹を家に泊めることにした。成瀬の付き添いで一緒にいた父、慶彦でなくても「えぇぇー!」って、引くのではないだろうか。野宿=廊下で寝る、おかきを勧める=お土産の試食、次の日の朝、路面の凍結に足をとられてタクシーに乗る時も「ヒッチハイクだと思っていいから」と徐々に城山を受け入れる慶彦に笑った。突拍子もないことをさも自然にやってのける成瀬が成瀬でいられるのは成瀬をありのまま受け止めて育てた父と母のおかげなのだと思う。

最終章では大晦日に置手紙を残し、成瀬は姿を消す。心配する成瀬の周りの人たち。成瀬が向かった場所は・・・。これはぜひ本を手に取って答え合わせをしてほしい。ヒントは三山ひろし、だ。

人の印象は5秒で決まる、と言われる。いや、5秒もたたないこともあるかもしれない。「うっ、苦手なタイプだ」とか。私はそこら辺の嗅覚は鋭いと自負している。だからこそ、それを悟られないように頑張って暮らしている。正直しんどいこともある。初対面でいえば成瀬はまさに「うっ、苦手なタイプだな」の人だ。その反面、もし現実に成瀬が登場したら勿体ないなーと思う。思い込みはどーんと捨ててしまおう。

それと、このタイトル「信じた道をいく」。「普通は〇〇だよねー」とくくってしまうことがあるが、普通ってなんだよ!って話。前回のブログでも同じことを書いてしまったが人に迷惑をかけなければ、私は私の好きなように生きていくだけだ。

そして。

どこかで だれかと つながっている

知らないうちに だれかに力をあたえている

そう思いたい。それだけでなんだか自分が存在する意味があるんじゃないかと幸せな気持ちになれる気がする。