ほはばブログ

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50代からの女性の暮らし方、働き方、学び方

【読了】改めて争いからはなにも生まれないことを考えさせられた 「戦争とバスタオル」

私の趣味のひとつである、温泉巡り。

この表紙の絵に魅せられて手に取りました。

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「戦争とバスタオル」

安田紘一:文、金井真紀:文と絵

亜紀書房 1,700円(税別)

 

温泉(お風呂)を二人のライターがめぐるという紀行本なのですが、タイトルにもあるように戦地や兵器を作っていた場所に限定されています。

温泉好きな方にも、歴史に興味のある方もヒットするのではないでしょうか。

 

タイのヒンダット温泉は侵略者である日本兵によって掘られたという。それが今でも地元の人に愛されていること。

温泉センターで湯上りに日本語の演歌を歌いあう、韓国のじいちゃんばあちゃん。

女でひとつで続けられている、沖縄唯一の鉱泉の銭湯。

 

読んでいるだけで、旅したくなるし、たっぷりの湯船に体を沈ませたくなります。

それと同時に、温泉はこんこんと湧き出ているけれどその経緯をしるほどに、戦争の罪深さで重苦しくなります。

特に大久野島の章(と、その前の神奈川の寒川の章)はお風呂というよりも、戦争についての話がメインです。

うさぎの島といわれる大久野島のことは知っていたけれど、そこで働いていた人に直接取材をした二人。

毒ガスを作っていたこと、それを誰にも話してはいけないと言われ、憲兵に見張られる島での暮らし。戦争が終わっても、毒ガスの被害に苦しめられ国からはきちんとした補償もないという事実。

そして、罪なき大久野島の人々が作った兵器は中国の人も苦しめていた。つまり被害者も加害者になっていたという罪を背負っているという悲しみ。

毒ガスが戦争を終了して70年以上たっても残っていて、それが現代の人にも被害をあたえている。

 

どこを切り取っても形容しがたいやるせなさしかないのです。

来月でロシアのウクライナ侵攻から1年になります。

国と国とのたたかいとはいえ、中の人はそれぞれの人生があります。

どうか、平和が一日も早く戻りますよう、願わずはいられません。

 

私たちは戦争をしていないけれど、過去のことを知ることを忘れずに、歴史から学び続けねばと思いました。きっかけを与えてくれたこの本に感謝。