雪が降ってる頃に読み始めて、夏に入る前に読了。
こんなに時間がかかったのは言葉の重みや熱さのせい。
（右）自分の「ものさし」で生きなさい
酒井 雄哉・村木 厚子 著 日経ＢＰ社
（左）あきらめない
村木 厚子 著 日経ビジネス文庫
村木さんのことは障害者郵便制度悪用事件（もう10年くらい前？）での冤罪の経緯を知っていたので「すごく強くて頭のいい方だな」と思っていました。自分がやってもいない罪で起訴されたら、どんな行動をするだろう（そもそもそんな立場にいないから想像すらもできないんだけど）。
村木さんの強さを作るものが、この本を読むと見えてきます。
それは「生きるヒント」になります。間違いなく。
その理由はこちら（若干ネタバレになります）
１．「こうあるべき」が少ない
元々厚生労働省に入るきっかけになったのも、国家公務員（キャリア組）の合格後就職活動の方法を知らなかったから、消去法で労働省を受けたとのこと。
それについて自分を責めることもなく、後悔するでもなく。
村木さんは置かれた場所で悩みながらも与えられた仕事に向き合うことができる。その場所での役割を理解し目標を設定して、努力することができる人なのです。
立派な自分像を掲げ、それに向かって努力するのも悪くはないけど、もし自分ではどうすることもできない理由（病気とか不可抗力なもの）で成し遂げられなかったときのダメージは大きい。
村木さんの生き方は、その都度自分に必要なことや相手に求められていることを見極めそこから目標を立てています。
２．ユーモアがある
自分が逆転無罪になったのは「名探偵コナンが好きだったから」と書いてあったときは拍子抜けしました。まあコナンのお陰だけではもちろんないのですが、巻末の読書リストからも村木さんがさまざまなジャンルの本を読んでいることが分かります。
熱い人にもかかわらず、フラットな印象を村木さんから受けるのは多角的にものを見られる人だからだと思うのです。その村木さんを作っているもののひとつが「読書」なのですよね。
３．人間関係に恵まれている
人は見た目で判断してしまいがちです。「そんなことないよ」とっても見た目で判断します。
私のように少し年齢をいくと、話しているうちに違和感をおぼえたりもします。とっても仲が良かったのにすれ違ってしまうのはどうしてなんだろうと悩んだことも数知れず（どっちがいい、悪いとかそういうことを言っているのではないです。私に理由があるときも沢山あります）。
人間関係は固定ではなく流動的なものです。一緒にいても心が離れたりもするし、物理的に離れていても心だけはつながっていることもあります。
職場関係だけでなく、村木さんを全く知らない人も含めて支援してきた方たちは村木さんのお人柄を知ったから、そして知っているから最後まで信じて応援してきたのです。
家族もそうです。一ミリの疑いも迷いもなく、お母さん、奥さんを信じて待つ。本当に素晴らしい家族だと思います。年頃の娘さんがいて、「お母さんが捕まった」なんてことになったら、家族はどうなってしまうんだろう。私は家族に捨てられるんじゃないか、なんて考えただけで恐ろしいです。
（でももしかしたら、当たり前の暮らしは「もしかしたら」と背中合わせなのかも知れないですね）
人に愛される人とは口当たりのいいこと（お世辞とか）を言ったり、人に迎合することではなく、自分の信念を持ち押し付けない人。
私もこの本を読み、村木さんの大ファンになりました（講演会とかないか検索しまくり）。
年を重ねることのメリットってなんなんだろう、と悩んでいました。
でも、大きな目標を掲げなくても毎日を満足して生きればそれでヨシ！とこの本を読んだら思えます。保証します。
長文になってしまったので、もう一冊の紹介ははまた次の機会に。
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