年が明けてすぐに読み始めた長編小説。
寝る前に少しずつ読んでいたので、読了に2カ月もかかってしまいました。
写真右は昨年秋の中国出張でホテルの向かいにあるセブンイレブンで購入したのど飴。
薬草と杏仁豆腐を足したような味で大好き。日本でも売ってないかな。
当時ベストセラーだったこの本を初めて読んだのは20代前半。ハードカバーの上下巻を購入しました。
しばらく手元に置いてましたが、ブックオフに売り昨年また読みたくなり購入。
独身だった当時とはまた違った思いで読みました。
1.祖母・母・娘の三代記。そして家族の物語
清朝末期(纏足などがまだ行われていた時代)から文化大革命を経て中華人民共和国初期までをある家族の「私」が母の話を聴いて書き起こしたノンフィクション小説。
教科書ではここまで書かないし、良くも悪くも一元的な見方だが、淡々と事実を書かれています。だからこそ、胸に突き刺さるものがあります。
祖母、母も時代に翻弄された人生です。祖母は軍人の妾となるも娘(母)を連れて家を出て医師の夫と結婚します。日本の満州国統治、そして国民党の支配。著者の父と母は共産党員となり結婚。しかし中国国民の希望であったはずの共産党政治は筆舌に尽くしがたいものでした。エリート公務員であるはずの二人は(いやエリートであるがゆえに)批判の対象となりました。
共産党員として平等であることを尊び、妻の流産寸前でさえも見殺しにする父親に怒りをおぼえずにはいられませんでしたが、正義感からくる思いはやがて毛沢東批判をすることで監獄に入れられ父は精神を病んでしまいます。
2.情報統制の恐怖とリーダー次第で国が大きく変わるという恐怖
当時の中国では「資本主義は貧乏」「共産主義は素晴らしい」という情報のみでした。
そういう時期もあったけど、知的なものや歴史的なものがどんどん破壊されていくことをヨシとする毛沢東。若者を用いて紅衛兵を結成自分の恩師や親までもつるし上げる文化大革命。恐怖以外の何者でもなかったです。
時代は移り、中国は今、経済発展を遂げています。
しかし情報統制は(当時ほどではないけれど)されていることもまた事実です。
私は中国には昨年初めて行きました。
受講生の中には日本語を学んでいました!と笑顔で話しかけてくれる方、片づけを仕事にしていくために今何ができるかなど熱心に学ぼうとする方がいらっしゃいました。
私は隣国の同じ収納を学ぶ仲間として、今年も中国に行きたいです。
今のところいつかはわかりませんが。
著者、ユン・チアンさんはエリート共産党員の娘でそれ故につらいこともあり、最終的にはずば抜けた学力と、母親の力という運を持ち合わせイギリスに留学します。
そして今でもイギリスで執筆活動をしています。
ワイルドスワンはたくさんの国で翻訳されています。
中国の近代史としてだけでなく、家族の物語として一読をオススメします。